【完全ガイド】筑波・もてぎ・SUGOロードレース選手権への挑戦!エントリー方法、参加費、クラス分け、魅力を徹底解説

サーキット走行会を楽しんでいるうちに、「一度は本物のレースに出てみたい」と思ったことはありませんか?グリッドに整列し、赤く灯るシグナルを見つめ、ブラックアウトと同時に一斉にスタートするあの緊張感と高揚感。多くのライダーが一度は夢見る光景ではないでしょうか。
しかし、いざレース参戦となると、「何から始めればいいの?」「費用はどれくらいかかる?」「どんなクラスがあるんだろう?」「自分のレベルで参加できるのか?」といった数々の疑問や不安が立ちはだかります。その一歩が踏み出せないまま、憧れで終わってしまっている方も少なくないはずです。
この記事では、そんなあなたのための「最初の一歩」を徹底的にサポートします。関東・東北を代表する3つのサーキット、筑波・もてぎ・SUGOで開催されている地方ロードレース選手権に焦点を当て、複雑なエントリー方法、気になる参加費、自分に合ったクラスの選び方、そして各選手権ならではの魅力を、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説します。
レース参戦への必須準備
本格的な解説に入る前に、すべてのレース参加者に共通する、最も重要で最初のステップについて説明します。それは「MFJライセンス」の取得です。
MFJライセンスの取得
筑波・もてぎ・SUGOで開催されるロードレース選手権は、すべてMFJ(一般財団法人 日本モーターサイクルスポーツ協会)が公認または承認する格式ある競技会です 。そのため、参加するにはMFJが発行する競技ライセンスが必須となります。これは、レースの世界へのパスポートのようなものです。
このライセンス制度は、単なる手続きではありません。取得の過程で、レースの公式ルール、フラッグの意味、スポーツマンシップ、そして何よりも安全に関する知識を学びます 。ライセンスを持つということは、サーキットにいる全員が共通のルールと安全意識を共有している証であり、参加者全員を守るための重要な仕組みなのです。
ライセンスには、レース初心者向けの「フレッシュマン」や、その上の「国内(ナショナル)」といった区分があり、出場したいクラスによって必要なライセンスが異なります 。まずは最寄りのサーキットやバイクショップなどで開催されるライセンス講習会に参加し、最初のライセンスを取得することから始めましょう。詳細はMFJの公式サイトで確認できますので、必ずチェックしてください。
筑波ロードレース選手権

茨城県下妻市にある筑波サーキットは、首都圏からのアクセスも良く、多くのライダーにとって馴染み深いサーキットです。ここで開催される「筑波ロードレース選手権」は、まさにライダーの腕が試される舞台として知られています。
筑波の魅力
筑波サーキットの最大の魅力は、そのコンパクトでテクニカルなコースレイアウトにあります。全長約2kmのコースには大小様々なコーナーが詰め込まれており、マシンのパワー差が出にくく、純粋なライディングスキルが勝敗を大きく左右します。
また、この選手権は独特の雰囲気を持っています。全日本ロードレース選手権の「J-GP3」クラスが同時開催されるため、国内トップレベルのプロライダーが走るピリリとした緊張感を味わえる一方で、地方選手権ならではのアットホームな雰囲気も共存しています 。パドックでは、最新のレーシングマシンと、仲間たちとレースを楽しむプライベーターの姿が隣り合っており、モータースポーツの多様な楽しみ方が凝縮された空間となっています 。
開催クラス
筑波ロードレース選手権では、ライダーのレベルや車両に合わせて様々なクラスが設定されています。
J-GP3
全日本選手権クラス。250ccの純粋なレーシングマシンで争われます 。
ST600 (Nat)
600ccのスーパースポーツバイクによるクラス。国内ライセンス所持者が対象です。
JP250
近年人気が高まっている250ccスポーツバイクのクラス。レース入門にも最適です。
CBR250 Dream Cup
Honda CBR250シリーズのワンメイクレース。
TC-Formula / TC250 / TC400 / T-EVO
筑波独自の多彩なクラス。
さらに、「マイスター」や60歳以上限定の「OVER60Kid’s」といった企画レースが開催されることもあり、幅広い年代のライダーが楽しめる懐の深さも魅力です 。
エントリー方法
筑波ロードレース選手権へのエントリーは、以下の手順で進めるのが一般的です。
筑波サーキットの公式サイトから、その年の「特別規則書」と「参加申込書」をダウンロードします 。
特別規則書には、参加資格、車両規定、ライダー装備など、レースに関するすべてのルールが記載されています。隅々までしっかりと読み込みましょう 。
参加申込書に必要事項を正確に記入します。
申込書と参加費を、定められた期間内に事務局へ提出・支払いを完了させます
基本エントリー料金
2025年シーズンの筑波ロードレース選手権では、すべてのクラスで共通の参加料が設定されています。
- 全クラス共通: 19,500円(消費税込)
各種割引制度
参加者の条件に応じて、以下の割引制度が利用可能です。
年間エントリー制度
- 年間4戦以上開催されるクラスが対象です。
- 1大会あたり1,000円が割引されます(例:4戦の場合、合計4,000円割引)。
- 計算例(4戦の場合) (19,500円 × 4戦) – 4,000円 = 74,000円
- 申込期間 第1戦のエントリー期間(1月28日~2月7日)までとなります。
若者割引制度
大会当日時点で22歳以下の参加者を対象に、1大会につき2,000円が割引されます。
年間エントリーの場合は、第1戦の大会当日の年齢が基準となります。
補足
年間エントリー割引と若者割引は併用することが可能です。
追加料金について
レイトエントリー費
- 通常のエントリー期間を過ぎて申し込む場合、追加で3,300円が必要となります。
- 申込期限は通常エントリー終了日の翌日から4日間です。
エントラント駐車券の追加
- 1エントリーにつき3枚まで追加購入が可能です。
- 料金は1枚1,000円、2枚2,000円、3枚3,500円です。
エントラント用パドックパスの割引販売
- エントリー時に申し込むと、1枚500円で購入できます。
- 当日販売の場合は1枚1,000円となります。
Aパドックスペースの確保
1区画(3×3m)を7,700円で確保できます(年間エントリーと同時申込の場合は6,600円)。
車載カメラの追加
2台目以降のカメラを取り付ける場合、1台につき2,200円の申請料が必要です。
もてぎロードレース選手権

栃木県茂木町に位置するモビリティリゾートもてぎ。MotoGP日本グランプリの開催地として世界的に有名なこのサーキットで、サンデーレースが楽しめるのが「もてぎロードレース選手権」、通称“もてロー”です。
もてローの魅力
“もてロー”最大の魅力は、何と言っても世界最高峰のライダーたちが戦う国際レーシングコースを、自分のバイクで全力走行できるという特別な体験にあります 。ダウンヒルストレートからの90度コーナーへのフルブレーキングなど、テレビで見ていたあのコーナーを自ら攻略する喜びは、他では味わえません。
また、“もてロー”はクラス設定が非常に豊富で、初心者からプロを目指すライダーまで、明確なステップアップの道筋が用意されているのが特徴です 。特に250ccクラスは細分化されており、自分のレベルや予算に合ったクラスを選びやすい環境が整っています。チームで楽しむことを目的とした「NEO STANDARD」クラスのようなユニークなカテゴリーもあり、多様なレースの楽しみ方を提供しています 。
開催クラス
“もてロー”のクラスは、MFJの公認競技会クラスと、サーキット独自の承認競技会クラスに大別され、幅広いニーズに応えています 。
もてぎロードレース選手権の主要クラス
クラス名 | 主な車両 | 対象ライダー | 格式 |
JSB1000 / ST1000 | 1000cc スーパースポーツ | エキスパート・プロ志向 | 公認 |
ST600 | 600cc スーパースポーツ (CBR600RR, YZF-R6等) | 中級者~エキスパート | 公認 |
JP250 | 250cc スポーツバイク (CBR250RR, YZF-R25等) | 初心者~中級者、ステップアップ | 公認 |
CBR250RR/R Dream Cup | Honda CBR250RR または CBR250R | 初心者、ワンメイクレース | 公認/承認 |
ST250 (S/T/F) | 250cc 単気筒/2気筒/4気筒 | 初心者~中級者 | 承認 |
NEO STANDARD | 250ccクラス (CBR250R, Ninja250等) | 初心者、チーム参加向け | 承認 |
参加までの3ステップ
もてぎロードレース選手権への参加プロセスは、公式サイトで分かりやすく3ステップで紹介されています 。
自分のバイク、目標、予算に合わせて参加するクラスを決めます。
前述の通り、参加にはMFJライセンスが必須です
公式サイトのWEBエントリーシステム「モタスポnet」から申し込みます 。各大会には申込期間や早期割引期間が設定されているため、日程をこまめにチェックしましょう 。
エントリー料金(スポット参戦)
クラス | MCOM/SMSC 会員 | MCOM/SMSC 非会員 |
下記以外の全クラス<br>(JSB1000, ST1000, ST600, JP250など) | 30,000円 | 35,500円 |
NEO STANDARD | 32,000円 | 非会員1名につき<br>7,000円の共済会掛金が別途必要 |
ST250 / G310R / CBR250R Dream Cup | 27,000円 | 31,000円 |
注記
- 料金はすべて税込みです。
- 非会員の参加料金には、もてぎ鈴鹿(MS)共済会の掛金7,000円が含まれています。
- 会員料金は、申し込み時点で会員資格が有効な場合にのみ適用されます。
割引制度
早期割引
各大会の指定期間内に申し込むと、上記の参加料金から2,000円が割引されます。
エアバッグ支援プログラム
23歳以上55歳未満のライダーがMFJ登録のエアバッグ式プロテクションを装着して参加する場合、参加料から2,000円が割引されます。
年間エントリー料金
MCOM会員またはSMSC会員は、全戦にまとめてエントリーする「年間エントリー」を選択できます。
クラス | 年間戦数 | 参加料金(税込) |
インターJSB1000 / インターST1000 / ナショナルST1000<br>インターST600 / ナショナルST600<br>インターJP250 / ナショナルJP250 | 4戦 | 122,000円 |
ST250S / ST250T / ST250F<br>CBR250R Dream Cup | 4戦 | 110,000円 |
NEO STANDARD (G310R以外のクラス) | 4戦 | 120,000円 |
NEO STANDARD G310R | 3戦 | 90,000円 |
G310R | 3戦 | 82,500円 |
年間エントリー特典
- スポーツ走行無料券8枚進呈
- 年間の指定ピット割り当て
- 年間で使用するエントラントパスと車両通行証の送付
その他必要な費用
遅延申込み追加料金
エントリー期間を過ぎて申し込む場合、6,600円の追加料金が発生します。
トランスポンダー(自動計測装置)貸出料
マイポンダーを所有していない場合、1大会につき5,500円(税込)の貸出料が必要です。
SUGOロードレース選手権

宮城県村田町にあるスポーツランドSUGOは、国内屈指のテクニカルでダイナミックなサーキットです。高低差約70mという、まるでジェットコースターのようなレイアウトが、数々の名勝負を生み出してきました。
SUGOの魅力
SUGOの魅力は、そのチャレンジングなコースレイアウトにあります。「馬の背」と呼ばれる丘を駆け上がり、ホームストレートへ全開で飛び出していく光景は圧巻です 。コースと観客席の距離が近く、ライダーの膝が路面を擦る音まで聞こえてくるほどの臨場感もSUGOならでは 。抜きどころが多く、最後まで目の離せないエキサイティングなレース展開が期待できます。
また、観戦エリアが工夫されており、応援に来てくれた家族や友人もレースを楽しめる環境が整っているのも嬉しいポイントです 。ライダーだけでなく、チーム全体でレースウィークエンドを満喫できるサーキットと言えるでしょう。
開催クラス
SUGOロードレース選手権は、参加者の目的別に大きく3つのカテゴリーに分けられており、非常に分かりやすいのが特徴です 。
Champion Trophy
全日本選手権への昇格を目指す、本格的な競技者向けのカテゴリー。JSB1000, ST600, JP250などMFJ公認クラスが開催されます。
Sound Trophy
「仲間と楽しむ」がコンセプト。改造範囲が広く、様々なマシンが参加可能です。目標ラップタイム別のクラス分けなど、ホビーユーザーフレンドリーな設定です。
RIDING SPORT CUP Open MINI Trophy
ミニバイクレース専用のカテゴリー。小排気量ならではの激しいバトルが繰り広げられます。
選べるエントリー方法
SUGOでは、参加者の都合に合わせて複数のエントリー方法が用意されています 。
WEBエントリー
公式サイトからのオンライン申込。最も手軽で推奨されています。
現金書留エントリー
申込用紙と参加費を現金書留で郵送する方法。
郵便振替エントリー
郵便局で参加費を振り込み、申込用紙と受領証のコピーを郵送する方法。
参加費
SUGOロードレースシリーズ 主要クラス参加費(2025年規則書より)
カテゴリー | クラス例 | SSCM会員料金 | 非会員料金 | エアバッグ割引 |
Champion Trophy | ST600, JP250 等 | 19,000円 | 22,000円 | -2,000円 |
Sound Trophy | OPEN FORMULA 等 | 19,000円 | 22,000円 | -2,000円 |
Open MINI Trophy | SP, GROM CUP 等 | 14,000円 | 16,000円 | -2,000円 |
注意:上記は2025年の規則書に基づく料金です 。年度によって改定される可能性があるため、必ず最新の公式書類をご確認ください。
まとめ
ロードレース選手権への挑戦は、決して簡単なことではありません。しかし、正しい情報を集め、一つずつ準備を進めていけば、夢のグリッドに立つことは決して不可能ではありません。
夢は実現できる
筑波・もてぎ・SUGOの地方選手権は、レースの世界への最高の入り口です。
まずはライセンスから
何よりも先に、MFJライセンスの取得が必須の第一歩です。
舞台を選ぼう
各サーキットには個性があります。テクニカルな筑波、ステップアップが明確なもてぎ、ダイナミックで費用が分かりやすいSUGO。自分に合った場所を選びましょう。
情報が力になる
各サーキットの公式サイトと、そこで公開される「特別規則書」が、最も重要で正確な情報源です。
挑戦こそが勝利
初めてのレースは、順位よりも、無事に完走し、その経験を楽しむことが大切です。スタートラインに立つこと自体が、大きな勝利なのです。
この記事が、あなたのレーシングキャリアのスタートガイドとなれば幸いです。まずは各サーキットの公式サイトをじっくりと読み込み、自分に合った選手権を見つけることから始めてみてください。夢のチェッカーフラッグは、その一歩先であなたを待っています!
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